专利摘要:
本発明は、軟骨へ浸透する能力がある抗原結合性ポリペプチドを提供する。開示のポリペプチド、組成物、および方法は、軟骨変性の治療、予防、および/または進行の遅延に適している。1つの実施形態において、本発明は、本明細書に開示された抗原結合性ポリペプチドを含む組成物、ならびに軟骨変性およびそれに関連した任意の障害、特に変形性関節症の治療、予防、および/または進行の遅延のための前記組成物の使用を包含する。さらにもう1つの実施形態において、軟骨変性の治療のための方法であって、抗原結合性ポリペプチドが、特に関節内投与によって、局所投与される、方法が提供される。
公开号:JP2011510667A
申请号:JP2010545343
申请日:2009-02-05
公开日:2011-04-07
发明作者:デイビッド ユレック,;ペーター リヒトレン,
申请人:デレネックス セラピューティクス アーゲー;
IPC主号:C12N15-09
专利说明:

[0001] 本発明は、軟骨変性に対する薬学的作用物質に関する。]
背景技術

[0002] 関節軟骨は、細胞外マトリックスに埋め込まれた軟骨細胞で構成される。前記マトリックスは、主に水で構成され、さらに、II型コラーゲン、および軟骨特異的プロテオグリカンである、アグリカンを含む。コラーゲン部分は、軟骨に引っ張り強さを与え、一方、プロテオグリカン部分は水を吸収し、それによって、圧迫に抵抗し、負荷を分散させる能力を提供する。]
[0003] 軟骨変性は、いくつかの状態、中でも変形性関節症(OA)に観察される。変性は、多数のサイトカイン、成長因子、およびプロテアーゼによって引き起こされる。最初、変性は、関節表面で細線維化の形として観察することができ、亀裂の出現へとつながる。その後、軟骨厚さの進行性損失が観察され、それは、プロテオグリカン−ヒアルロン酸複合体の過剰異化反応に起因する。変性は、グリコシダーゼおよびヘキソサミニダーゼなどのメタロプロテイナーゼによって触媒される(例えば、特許文献1参照)。最後に、コラーゲンネットワークが攻撃される。ポジティブフィードバックループが観察される場合があり、その場合、マトリックス分子の分解産物が分解を刺激する。前述のフィードバックループに対する細胞応答は、IL−1およびTNFαなどのサイトカインの産生を伴い、それらのサイトカインが、マトリックスメタロプロテアーゼの発現を誘導することは公知である(Goldring 2000年、Arthritis & Rheumatism 43巻 1916〜1926頁;Kobayashi, M.ら、(2005年):Role of Interleukin−1 and Tumor Necrosis Factor alpha in matrix degradation of human osteoarthritic cartilage. Arthritis & Rheumatism、52巻(1号)、128〜135頁;およびGerwin, N.ら、(2006年)、Adv. Drug Delivery Rev. 58巻、226〜242頁参照)。]
[0004] Kobayashi, M.ら(2005年)は、インビトロで、IL−1および/またはTNFαの抑制が、OA軟骨におけるII型コラーゲンおよびプロテオグリカンの分解を停止することを示した(Kobayashi, M.ら、(2005年):Role of Interleukin−1 and Tumor Necrosis Factor alpha in matrix degradation of human osteoarthritic cartilage. Arthritis & Rheumatism、52巻(1号)、128〜135頁参照)。それゆえに、細胞外マトリックスの分解および変性の制御が、関節疾患の治療につながると考えられる(EP1547617参照)。]
[0005] 変性関節炎としても公知のOAは、欧州、米国、および日本において、最も一般的な型の関節炎であり、身体障害の主要原因であり、推定有病率が人口の36〜48%である。高齢者の割合が増大していくこと、およびOAについての他のリスク因子(例えば、肥満および活動しない生活様式)の発生率が増加しているので、前記の数は、増大することが予想される(Gerwin, N.ら(2006年)、Adv. Drug Delivery Rev. 58巻、226〜242頁)。効果的なOA治療の必要性の増加にもかかわらず、現在の治療は、徴候および症状を治療するのみであり、すなわち、根本的な関節軟骨の構造的変化ではなく、痛みの軽減である。現在の治療は、単純な鎮痛薬、非ステロイド系抗炎症薬の投与、またはグルココルチコイドおよびヒアルロン酸製剤の関節内注射を含む。したがって、OAの治療の満たされていない医学的必要性が大いにある。]
[0006] 軟骨変性の治療の複雑化の要因として、関節軟骨は、無血管性かつ無リンパ性である;結果として、栄養分または医薬品などの分子が、滑液から高密度の軟骨マトリックスを通って拡散して、軟骨細胞に達することが可能でなければならない(Gerwin, N.ら(2006年)、Adv. Drug Delivery Rev. 58巻、226〜242頁)。溶質の浸透性、特に軟骨を通っての巨大分子、中でもIgG抗体の浸透性は、試験されている(Maroudas A.、(1976年)、J. Anat. 122巻(2号)、335〜347頁)。分配係数は、溶質のサイズが増加するにつれて、非常に急勾配で減少することが見出された。結果的には、より大きな分子の通過は、マトリックス網目構造のポアサイズに制限され、したがって、グリコサミノグリカンの局所濃度に強く依存する。様々なサイズおよび様々なpIのタンパク質の、関節軟骨の浸透および関節軟骨における残留性に関する追加の試験は、van Lentのチームによって行われている。彼らは、陽イオン性タンパク質の、関節軟骨の浸透および関節軟骨内での残留性が、陰イオン性タンパク質と比較して、はるかにより顕著であることを見出した(van Lent, P. L. E. M.ら(1987年)、J. Rheumatol. 14巻(4号)、798〜805頁)。vant Lentらによって実施されたマウスのインビボ試験は、彼の以前の所見を大部分、確認した(van Lent, P. L. E. M.ら(1989年)、J. Rheumatol. 16巻(10号)、1295〜1303頁)。彼は、特定のタンパク質が小さければ小さいほど、かつ陽イオン性が強ければ強いほど(高いpI)、軟骨浸透が良くなることを見出した。他方、軟骨保持は、巨大陽イオン性タンパク質について最も顕著であり、これらのタンパク質が負に帯電した軟骨成分グリコサミノグリカン(GAG)に効果的に結合し、一方、小さい陽イオン性タンパク質による軟骨結合はずっと非効率的であることを示している。インビトロでの強陽イオン性タンパク質の軟骨浸透の上部範囲は、240kDa〜440kDaであることが見出された。軟骨浸透についてのpIの重要性は、以下の例によって指摘されている。異なるpI値を有する3つの異なるバージョンのIgG抗体(150kDa)が試験された。9.0のpIを有する操作されたIgG変異体は、軟骨へ深く浸透したが、7.0〜8.0のpI値を有する天然IgGについて、浸透を検出することができなかった。4.5のpIを有する第3の変異体は、もはや試験されなかった。BSA(67kDa)について、pI8.5〜9.0変異体は、軟骨の深い浸透を生じ、7.0〜8.0変異体は、軟骨表面で保持され、天然の4.5pI変異体はいかなる検出可能なシグナルも現さなかった(van Lent, P. L. E. M.ら(1987年)、J. Rheumatol. 14巻(4号)、798〜805頁)。]
先行技術

[0007] 米国特許出願公開第2007/197471号明細書]
課題を解決するための手段

[0008] したがって、軟骨の分解に対する、特に、変形性関節症の治療のための薬学的作用物質を提供することが本発明の目的である。]
[0009] 本発明は、軟骨変性、ひいてはそれに関連した任意の障害の治療、予防、および/または進行の遅延のための抗原結合性ポリペプチドであって、軟骨へ浸透する能力がある抗原結合性ポリペプチドを提供する。]
[0010] 驚くべきことに、特異的抗原結合性ポリペプチド、特に一本鎖抗体が、効果的な様式で、軟骨へ浸透する能力があり、それらが、軟骨マトリックス内でサイトカイン、サイトカイン受容体、またはメタロプロテイナーゼなどの標的タンパク質を結合できることが、見出された。標的分子の結合により、それらの生物学的機能がそれらの発生部位でブロックされ得、軟骨変性は、減少および/または抑制することができる。したがって、本発明のポリペプチドは、特定の標的分子に直接的様式で作用することができる。ポリペプチドへ正電荷を付加することによって、軟骨内の保持時間を増強することができ、それによって、標的タンパク質とのより長い接触を可能にする。]
[0011] さらに、より大きい分子は、軟骨マトリックスを浸透することができないため、より大きいタンパク質分子と比較した場合、本発明の薬学的作用物質の投与によって、より大きな分布量が利用可能である。]
[0012] 本発明はまた、軟骨変性、特に変形性関節症の治療、予防、および/または進行の遅延のための前記抗原結合性ポリペプチドの使用を提供する。]
[0013] 本明細書に開示された抗原結合性ポリペプチドは、軟骨変性のインビトロ診断および/またはインビボ診断に用いることもできる。]
[0014] さらに、本発明は、本明細書に開示された抗原結合性ポリペプチドを含む組成物、ならびに軟骨変性およびそれに関連した任意の障害、特に変形性関節症の治療、予防、および/または進行の遅延のための前記組成物の使用を包含する。]
[0015] さらにもう1つの実施形態において、軟骨変性の治療のための方法であって、抗原結合性ポリペプチドが、特に関節内投与によって、局所投与される、方法が提供される。]
[0016] 本発明は、以下のその詳細な説明を考慮すると、より良く理解され、かつ上記で示されたもの以外の目的が明らかになるだろう。そのような説明は、添付された図面を参照している。]
図面の簡単な説明

[0017] 図1は、インビトロの軟骨浸透実験について設定された実験の模式図である。以下の構成要素が描かれている:ポンプ(1)、チューブシステム、矢印は流れ方向を示している(2)、緩衝液リザーバ(3)、FITC標識プローブを含むリザーバ(4)および貫流チャンバー(5)を有する拡散チャンバー、浸透チャンバーへクランプで固定された、関節面を上向き(プローブリザーバの方向)にした軟骨(6)。大きな矢印は、FITC標識分子の軟骨の中へ入って、通過する浸透を示す。
図2は、軟骨浸透について用いられるFITC標識タンパク質を希釈し(1:2、1:4、1:8、1:16)、スライドガラス上にスポットし、UV下でシグナル強度を決定したものを示す図である。
図3Aは、示された時間の後のESBA105−FITCおよびインフリキシマブ(Remicade(登録商標))−FITCの浸透を、UV光下で撮影した軟骨切片の写真によって可視化している図である。
図3Bは、示された時間の後のESBA105−FITCおよびインフリキシマブ(Remicade(登録商標))−FITCの浸透を、UV光下で撮影した軟骨切片の写真によって可視化している図である。
図3Cは、示された時間の後のESBA105−FITCおよびインフリキシマブ(Remicade(登録商標))−FITCの浸透を、UV光下で撮影した軟骨切片の写真によって可視化している図である。
図4は、FITC標識TNF−αインヒビターとのインキュベーション後のウシ軟骨の先端面からの規定された距離における蛍光強度を示す図である。
図5Aは、約1000mcg/動物の用量レベルでの[125I]−ESBA105の単回静脈内投与(A)または単回関節内投与(B)後の雄ウサギの下肢における放射能濃度の比較を示す図である。関節内投与後の関節軟骨について、6時間目の時点で、定量化の範囲内の値を得ることができなかったことに注目されたい。それゆえに、この組織についてはグラフに実線が引かれなかった。
図5Bは、約1000mcg/動物の用量レベルでの[125I]−ESBA105の単回静脈内投与(A)または単回関節内投与(B)後の雄ウサギの下肢における放射能濃度の比較を示す図である。関節内投与後の関節軟骨について、6時間目の時点で、定量化の範囲内の値を得ることができなかったことに注目されたい。それゆえに、この組織についてはグラフに実線が引かれなかった。
図6は、[125I]−ESBA105の静脈内注射および関節内注射後の膝関節組織の体内分布を示す図である。関節内注射(点線)および静脈内注射(実線)後の血漿中の[125I]−ESBA105レベルの時間経過を示す。
図7は、L929マウス線維芽細胞のTNF−α誘導性アポトーシスからの救出を示す図である。アクチノマイシンDの存在によって感作されたL929マウス線維芽細胞を、異なる濃度のESBA105またはインフリキシマブのrhTNF−α(100pg/mlの最終濃度)とあらかじめインキュベートされた混合物に曝した。インフリキシマブと類似して、ESBA105は、TNF−αのアポトーシス促進効果を用量依存性様式でブロックする。それぞれ、ESBA105について12.5ng/mlおよびインフリキシマブについて14.0ng/mlのEC50値によって決定されているように、ESBA105の効力は、インフリキシマブとほとんど同一である。
図8は、ラット単関節炎モデルにおける関節内ESBA105による抑制:10μgのrhTNF−αの関節内注射によって誘発された急性単関節炎への、関節内注射されたESBA105とインフリキシマブ、それぞれの抑制可能性の比較を示す図である。(カリパスの使用によって定量化された)関節腫脹、滑膜炎(HE染色;Bも参照)、およびプロテオグリカン損失(トルイジンブルー染色;Bも参照)への効果を評価した。
図8は、ラット単関節炎モデルにおける関節内ESBA105による抑制:10μgのrhTNF−αの関節内注射によって誘発された急性単関節炎への、関節内注射されたESBA105とインフリキシマブ、それぞれの抑制可能性の比較を示す図である。(カリパスの使用によって定量化された)関節腫脹、滑膜炎(HE染色;Bも参照)、およびプロテオグリカン損失(トルイジンブルー染色;Bも参照)への効果を評価した。
図8は、ラット単関節炎モデルにおける関節内ESBA105による抑制:10μgのrhTNF−αの関節内注射によって誘発された急性単関節炎への、関節内注射されたESBA105とインフリキシマブ、それぞれの抑制可能性の比較を示す図である。(カリパスの使用によって定量化された)関節腫脹、滑膜炎(HE染色;Bも参照)、およびプロテオグリカン損失(トルイジンブルー染色;Bも参照)への効果を評価した。
図9は、ラット単関節炎モデルにおける関節内ESBA105の用量応答:ESBA105およびインフリキシマブ、それぞれのインビボ用量応答を示す図である。滑膜炎およびプロテオグリカン損失に関するデータは示されていない。
図10は、FW2.3、または20ug/mlもしくは100ug/mlのESBA105で処理された軟骨培養物の上清における5日目のMMP活性を示す図である。ヒト変形性関節症軟骨外植片のESBA105での処理は、アイソタイプ対照と比較した場合、MMPの活性を有意に低下させた。絶対値については、対照状態(FW2.3)を100%に設定することによって各患者について別々に標準化した。*p<0.05。各培養条件についてのMMP活性の絶対平均値は、図の下の表の行に示されている。
図11は、全ての時点のプールされた培地におけるPGE2を示す図である。両方の濃度のESBA105は、軟骨培養物の上清におけるPGE2レベルを有意に低下させた。絶対値については、対照状態(FW2.3)を100%に設定することによって各患者について別々に標準化した。*p<0.05。各培養条件における測定されたPGE2レベルの絶対平均値は、図の下の表の行に示されている。] 図1 図10 図11 図2 図3A 図3B 図3C 図4 図5A 図5B
[0018] 本発明は、下記で、より詳細に記載される。様々な実施形態、選択性、および範囲を随意に組み合わせてもよいことは理解されている。さらに、特定の実施形態によっては、選択された定義、実施形態、または範囲が当てはまらない場合がある。]
[0019] 本発明の範囲において、以下の定義が適用される:
用語「抗原結合性ポリペプチド」は、天然アミノ酸または非天然アミノ酸の重合体が抗原に特異的に結合する能力を指す。これらのポリペプチドとして、選択された抗原に対する十分な結合能力を有する、完全長抗体の任意の抗原結合性断片または一本鎖が挙げられる。本発明に包含される抗原結合性断片の例として、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片;単一ドメインまたはdAb断片、単離された相補性決定領域(CDR);任意で合成リンカーによって連結されてもよい2つ以上の単離されたCDRの組合せ、および一本鎖可変断片(scFv)が挙げられる。「完全長抗体」には、1つの起源の抗原結合性可変ドメインが、異なる起源の定常ドメインに結合している、例えば、マウス抗体の可変ドメインFvがヒト抗体の定常ドメインFcに結合している、キメラ抗体が挙げられる。上記で列挙された抗体および抗体断片は、当業者に公知の通常の技術を用いて得られ、断片は、無傷抗体がスクリーニングされるのと同じ方法で有用性についてスクリーニングされる。抗原結合性ポリペプチドという用語はさらに、当技術分野において周知である代替スキャフォールドに基づいている抗原結合性ポリペプチドを包含し、それらには、CTLA−4、テンダミスタット(tendamistat)、フィブロネクチン(FN3)、ネオカルチノスタチン、CBM4−2、リポカリン、T細胞受容体、プロテインAドメイン(プロテインZ)、Im9、設計アンキリンリピートタンパク質(DARPin)、設計TPRタンパク質、Znフィンガー、pVIII、トリ膵臓ポリペプチド、GCN4、WWドメイン、Src相同ドメイン3(SH3)、Src相同ドメイン2(SH2)、PDZドメイン、TEM−1β−ラクタマーゼ、GFP、チオレドキシン、ブドウ球菌(staphylococcal)ヌクレアーゼ、PHDフィンガー、CI−2、BPT1APPI、HPSTI、エコチン、LACI−D1、LDTI、MTI−II、サソリ毒、昆虫デフェンシンAペプチド、EETI−II、Min−23、CBD、PBP、チトクロームb562、Ldl受容体ドメインA、γ−クリスタリン、ユビキチン、トランスフェリン、およびC型レクチン様ドメインが挙げられるが、それらに限定されるわけではない(Binzら(2005年10月)Nat Biotech 23巻(10号):1257〜68頁参照)。本明細書に開示された方法および組成物の好ましい実施形態において、抗原結合性ポリペプチドは一本鎖抗体である。]
[0020] 本発明の抗原結合性ポリペプチドは、組換え遺伝学の分野における日常的技術を用いて作製してもよい。ポリペプチドの配列がわかっている場合には、それらをコードするcDNAは遺伝子合成によって作製することができる。]
[0021] 本明細書に開示された抗原結合性ポリペプチドは、例えば、放射活性をもって、もしくは蛍光剤で標識してもよいし、または例えばPEG化により、化学的に修飾してもよい。]
[0022] 「軟骨変性」は、いくつかの方法によって測定することができる。軟骨外植片培養物を用いた前臨床実験において、コラーゲンおよび/またはプロテオグリカンの損失を、治療を適用する前に外植片の重さを量ることによって、かつ培地へ放出されたグリコサミノグリカン(GAG)の量および軟骨に残存するGAG含有量を決定することによって、直接測定することができる。さらに、IL−1およびTNFαなどの特定のサイトカインの発現プロファイリングは、炎症/異化過程の指標を与えることができる。コラーゲン崩壊は、培地へ放出されたコラーゲン分解産物CTX−IIを測定することによって決定することができる。マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)発現もしくは活性の測定、またはプロスタグランジンE2(PGE2)濃度の測定は、軟骨変性の間接的指標である。CTX−IIはまた、ヒトにおける軟骨変性のバイオマーカーとしての役割を果たすことができる。それは、市販のキット(例えば、OSTEO medical GmbH、Bunde、Germany製のCTX−II−Urin(CartiLaps(登録商標))、ヒト)を用いて尿中で測定することができる。ヒトにおいて軟骨変性を評価するための現在の標準方法はX線であるが、この方法は磁気共鳴画像法(MRI)に取って代わられるであろうことは予見できる。MRIは、関節軟骨容積および形態を定量化することを可能にする(Peterfy,CGら(2006年)Osteoarthritis and Cartilage、14巻、A95〜A111頁)。抗原結合性ポリペプチドの治療有効量は、疾患もしくは状態を治療する、寛解させる、もしくは予防する、または検出可能な治療効果もしくは予防効果を示すのに必要とされる量を指す。]
[0023] 用語「薬学的製剤」は、対象に投与し、明白に有効であり得る抗原結合性ポリペプチドの生物活性を保持することができ、かつ毒性である追加成分を含まない調製物を指す。薬学的に許容される賦形剤(溶媒、添加剤)は、用いられる活性成分の有効量を提供するように対象哺乳動物へ合理的に投与することができるものである。]
[0024] 第1の態様において、本発明は、軟骨変性の治療、予防、および/または進行の遅延のための抗原結合性ポリペプチドであって、軟骨へ浸透する能力がある抗原結合性ポリペプチドを提供する。]
[0025] 好ましい実施形態において、ポリペプチドは一本鎖抗体である。]
[0026] 軟骨浸透は、例えば、標識抗原結合性ポリペプチドを軟骨外植片に、例えば、実施例1に記載され、かつ図3に示された実験設定によって、適用することにより、インビトロで測定してもよい。或いは、軟骨浸透は、放射標識タンパク質によって評価することができる(例えば、van Lent, P. L. E. M.ら(1987年)、J. Rheumatol. 14巻(4号)、798〜805頁参照)。放射標識はまた、実施例2、またはvan Lent, P. L. E. M.ら(1989年)、J. Rheumatol. 16巻(10号)、1295〜1303頁に記載されているように、インビボで軟骨浸透を決定するのにも適している。]
[0027] さらなる好ましい実施形態において、AthaおよびIngham(1981年)の方法に従って測定した場合の本発明のポリペプチドの溶解度は、少なくとも5mg/ml、より好ましくは少なくとも10mg/ml、および最も好ましくは少なくとも20mg/mlである。]
[0028] 特に、安定かつ可溶性の抗体、好ましくは、WO03/097697に記載されているような安定かつ可溶性のフレームワークを有する一本鎖抗体は、高度に濃縮された製剤が達成され得る;その結果として、少ない適用量を用いることができるため、有利である。言及されているような安定かつ可溶性の抗体は、好ましくは、以下の特徴の1つまたは複数を有する:
−それは、WO01/48017に開示されているような酵母相互作用アッセイ、いわゆる品質管理システムで測定される場合の還元条件下で安定である、
−それは、PBS中、20℃〜40℃、好ましくは37℃で、少なくとも1カ月間、好ましくは少なくとも2カ月間、最も好ましくは少なくとも6カ月間、安定である、
−それは、生理的条件下で単量体を保持する、
−それは、PBS中外界温度で、約1mg/mlより高い、好ましくは約4mg/mlより高い、より好ましくは約10mg/mlより高い、さらにより好ましくは約25mg/mlより高い、最も好ましくは約50mg/mlより高い濃度で可溶性である、
−それは、少なくとも1.5M、好ましくは少なくとも1.75M、より好ましくは少なくとも1.9M、最も好ましくは少なくとも2Mの塩酸グアニジン滴定における遷移の中間点を示す、すなわち、変性に対して抵抗性である。]
[0029] 好ましい実施形態において、ポリペプチドは、少なくとも10kDaで、かつ50kDa未満の分子量を有する。好ましくは、ポリペプチドは、約26〜27kDaの分子量を有する。]
[0030] さらに、ポリペプチドは、好ましくは、サイトカインまたはサイトカイン受容体を特異的に結合する。より好ましくは、前記サイトカインまたはサイトカイン受容体は、炎症促進性である。前記炎症促進性サイトカインは、好ましくは、TNFαまたはインターロイキン、例えば、IL−1もしくはIL−6、または列挙されたサイトカインのいずれかの結合について特異的である任意のサイトカイン受容体である。別の好ましい実施形態において、ポリペプチドは、軟骨プロテオグリカン分解酵素を特異的に結合する。そのような酵素として、アグリカナーゼおよびマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)が挙げられる。]
[0031] 標的分子の特異的結合を通して、軟骨変性におけるそれらの生物活性を調節および/またはブロックすることができる。]
[0032] 別の好ましい実施形態において、抗原結合性ポリペプチドは、配列番号1と少なくとも90%同一性、より好ましくは少なくとも95%同一性、最も好ましくは少なくとも99%同一性を有する可変軽鎖VL;および/または配列番号2と少なくとも90%同一性、より好ましくは少なくとも95%同一性、最も好ましくは少なくとも99%同一性を有する可変重鎖VHを含む。]
[0033] 別の好ましい実施形態において、ポリペプチドは、配列番号3の配列と少なくとも90%同一性、より好ましくは少なくとも95%同一性、最も好ましくは少なくとも100%同一性を有する。]
[0034] 本発明の配列は以下である:
配列番号1ESBA105のVL]
[0035] 配列番号2ESBA105のVH]
[0036] 配列番号3ESBA105]
[0037] 2つの配列間のパーセント同一性は、2つの配列の最適なアラインメントのために導入される必要があるギャップの数および各ギャップの長さを考慮に入れた、配列によって共有される同一の位置の数の関数である。配列の比較および2つの配列間のパーセント同一性の決定は、当業者に周知である数学的アルゴリズムを用いて達成することができる。本明細書で言及される同一性は、インターネットでアクセス可能なBLASTプログラム(基本的局所アラインメント検索ツール(Basic Local Alignment Search Tools);Altschul, S.F.、Gish, W.、Miller, W.、Myers, E.W.、およびLipman, D.J.(1990年)「Basic local alignment search tool」J. Mol. Biol. 215巻:403〜410頁参照)を用いることによって決定することになっている。BLASTタンパク質検索は、アミノ酸配列を本発明のタンパク質分子と比較するために、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3を用いて実行することができる。比較を目的としてギャップドアラインメントを得るために、ギャップドBLASTをAltschulら、(1997年)Nucleic AcidsRes. 25巻(17号):3389〜3402頁に記載されているように利用することができる。BLASTおよびギャップドBLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメータを用いることができる。]
[0038] さらに別の好ましい実施形態において、浸透効率は、軟骨内に見出されるpHまたは投与部位との関連において抗原結合性ポリペプチドのサイズおよびpIに依存する。例えば、健康な膝関節内のpHは、約7.4である。炎症関節において、pHは約7まで下がり得る。好ましくは、抗原結合性ポリペプチドのpIは、7.0より高く、より好ましくは7.4より高く、最も好ましくはそれは7.8以上である。]
[0039] さらに別の好ましい実施形態において、抗原結合性ポリペプチドは、軟骨浸透を促進するために、かつ軟骨保持を最適化するために、抗原結合性ポリペプチドに全体的な正電荷を供給する製剤中に適用される。]
[0040] 第2の態様において、本発明は、軟骨変性、特に変形性関節症の治療、予防、および/または進行の遅延のための開示された抗原結合性ポリペプチドの使用を提供する。]
[0041] 本明細書に開示された抗原結合性ポリペプチドはまた、軟骨変性、特に変形性関節症のインビトロ診断および/またはインビボ診断に用いてもよい。]
[0042] さらに別の態様において、抗原結合性ポリペプチドは、軟骨変性、特に変形性関節症の治療、予防、および/もしくは進行の遅延のための医薬品の製造のために、または軟骨変性、特に変形性関節症の検出のためのインビトロ診断剤として用いることができる。]
[0043] さらに、本発明は、本明細書に開示された抗原結合性ポリペプチドを含む組成物を包含する。組成物は、好ましくは、薬学的組成物であり、薬学的に許容される担体、または1つもしくは複数のさらなる有効な作用物質をさらに含んでもよい。]
[0044] 好ましい実施形態において、組成物の抗原結合性ポリペプチドは、scFvであり、TNFαを特異的に結合する。抗原結合性ポリペプチドは、それの組成物への組み入れの前に凍結乾燥に供してもよい。好ましくは、組成物は、水性製剤である。前記水性製剤は、ポリペプチドをpH緩衝溶液に溶解して調製してもよく、その緩衝液は、6.0より上のpH、好ましくは6.0の上から7.8までの範囲のpHを有する。この範囲内にpHを調節する緩衝液の例として、酢酸塩(例えば、酢酸ナトリウム)、コハク酸塩(例えば、コハク酸ナトリウム)、グルコン酸塩、ヒスチジン、およびクエン酸塩などの有機酸緩衝液が挙げられる。]
[0045] 本発明の抗体および組成物は、いくつかの様々な対象、好ましくは温血動物、より好ましくはヒトおよび非ヒト動物、例えば、ラット、マウス、ウサギ、イヌ、ウマ、ネコを含む哺乳動物に投与することができる。本明細書に開示された、方法、抗原結合性ポリペプチド、および/または組成物の好ましい実施形態において、対象はヒトである。]
[0046] 本明細書に開示された方法、抗原結合性ポリペプチド、および/または組成物の投与様式は、好ましくは非経口であり、最も好ましくは関節内である。]
[0047] 哺乳動物において実施された(実施例1参照)本発明によって開示されている実験は、本発明の抗原結合性ポリペプチドの関節内投与後、ポリペプチドは、静脈内適用経路に従うより軟骨へはるかに効率的な様式で浸透すること(図5AおよびB参照)を示した。血漿中において、本発明の抗原結合性ポリペプチドの測定された最大濃度(Cmax)は、関節内投与後、静脈内注射後より低かった。特定の実験設定において、その差は10倍であった。さらに、血漿中のCmaxは、関節内投与から数時間後にピークに達し、それは、関節内注射の部位から循環への比較的遅い吸収を示し、それは、徐放性効果に匹敵する。これらの所見は、注射部位におけるより高い局所濃度のポリペプチドおよび血漿へのクリアランスの遅延が観察されているため、抗原結合性ポリペプチドの局所投与が全身投与より好ましいという仮説を確認している。さらに、関節内適用後、ポリペプチドの全身曝露は、静脈内投与と比較して、より低く、それは潜在的全身性有害反応を低下させる。] 図5A
[0048] 好ましくは、本明細書に開示されたポリペプチドおよび/または組成物は、関節内投与の際、血漿中のポリペプチドのピーク濃度Cmaxが、静脈内注射後の約10分の1、好ましくは静脈内注射後の10分の1より低いように選択される。さらに、ポリペプチドおよび/または組成物は、関節軟骨における、関節内投与での前記ポリペプチドのピーク濃度Cmaxは、好ましくは静脈内注射後の少なくとも40倍、好ましくは静脈内注射後の少なくとも45倍であるように選択される。好ましくは、AUC0−6に基づいた関節軟骨におけるポリペプチド曝露は、本明細書に開示されたポリペプチドまたは組成物の静脈内適用と比較して、関節内に関して、約135倍であり、および/またはAUC0−240は、150倍〜500倍である。上記で述べたように、抗原結合性ポリペプチドは、好ましくは、それが7.0より高いpIを有するように選択され、および/または組成物は、抗原結合性ポリペプチドに全体的な正電荷を供給する製剤を有するように選択される。]
[0049] 非経口および/または関節内使用用の組成物は、薬学的組成物の製造のための当技術分野にとって公知の任意の方法に従って調製してもよく、本発明の有効物質以外に、保存剤および/またはアジュバントなどの1つまたは複数の作用物質を含んでもよい。組成物は、活性成分を適切な生理的に許容される賦形剤と混合して含んでもよい。そのような賦形剤として、例えば、不活性希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、またはリン酸ナトリウム)、造粒剤および崩壊剤(例えば、コーンスターチまたはアルギン酸)、結合剤(例えば、デンプン、ゼラチン、またはアラビアゴム)、および潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはタルク)が挙げられる。]
[0050] 好ましい実施形態において、組成物は、鎮痛性および/または抗炎症性を有するポリペプチドを含む。これは、具体的には、ポリペプチドがTNFαを特異的に結合する場合である。さらなる好ましい実施形態において、組成物はさらに、本明細書に記載されたポリペプチド以外に鎮痛薬および/または非ステロイド系抗炎症薬を含む。]
[0051] 別の好ましい実施形態において、組成物は、ヒアルロン酸および/または関節内注射されるグルココルチコイドを含む。]
[0052] 本明細書に開示された組成物は、好ましくは、安定な様式で製剤化される。安定な製剤は、その中の抗原結合性ポリペプチドが本質的にその生物活性、好ましくは、保存時のその物理的安定性および/または化学的安定性を保持するものである。タンパク質安定性を測定するための様々な分析技術が当技術分野において利用可能であり、例えば、Peptide and Protein Drug Delivery、247〜301頁、Vincent Lee編、Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., Pubs.(1991年)、およびJones, A. Adv. Drug Delivery Rev. 10巻:29〜90頁(1993年)に概説されている。安定性は、選択された期間、選択された温度で測定することができる。好ましくは、製剤は、室温(約25℃)または40℃で、少なくとも1カ月間安定であり、および/または約2〜8℃で少なくとも1年間、好ましくは少なくとも2年間、安定である。さらに、製剤は、好ましくは、製剤の凍結(例えば、−70℃まで)および解凍後、安定である。]
[0053] 関節内注射は侵襲的手法を要求しているため、それらを頻繁すぎる回数で投与することは勧められない。それゆえに、薬学的活性のある化合物が、注射部位および/または関節組織中において長い滞留時間を示すことが好ましい。本明細書に記載されたポリペプチドは、軟骨を浸透する能力があるので、関節内投与の際、関節からの前記ポリペプチドの放出は、長期間にわたって起こる。好ましい実施形態において、長期の滞留時間はさらに、本明細書で開示された薬学的組成物を徐放性組成物として製剤化する、すなわち、投与後の有効化合物の、好ましくはゼロ次速度での、長期放出を可能にする製剤によって達成される。]
[0054] そのような製剤は、一般的に、周知のテクノロジーを用いて流動性水性コロイド懸濁液として調製することができる。製剤は、好ましくは、容易に注射可能であるのに十分、流動性である。さらに、製剤は、好ましくは、液体の形で安定で、生体適合性かつ生分解性で、無毒性で、非免疫原性であり、優れた局所耐性を有する。徐放性製剤は、好ましくは、比較的一定のレベルのモジュレータ放出を提供する。いくつかのアプローチが当技術分野において公知である。1つのアプローチにおいて、製剤は、液体で、かつ注射可能であり、pHおよび/または温度の変化によって対象への投与後、より粘稠性になる、少なくとも1つのポリマーおよび1つの活性物質を含む。もう1つの代替物は、ゲル状沈殿物の形成物である。対象の温度がゲル化剤のゲル化点より上であるため、投与により、液体はゲル化する。さらにもう1つのアプローチは、後で対象に投与されるミクロスフェアまたは移植片へ活性物質を組み入れることにある。第4のアプローチは、抗原結合性ポリペプチドを有するナノ粒子の負荷である。その後、その粒子は、低粘性液体懸濁液として投与される。]
[0055] 本明細書に開示されたポリペプチドおよび/または組成物は、例えば、軟骨変性およびそれに関連した任意の障害の治療、予防、および/または進行の遅延に用いることができる。好ましくは、前記障害は変形性関節症である。本発明の範囲内において、軟骨変性に関連した前記障害は、とりわけ、関節リウマチ、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、および若年性特発性関節炎を包含する。]
[0056] 好ましくは、本明細書に開示されたポリペプチドおよび/または組成物の治療有効量が、それを必要としている対象に投与される。適切な用量は、治療されるべき状態、状態の重症度および経過、抗体が予防目的で投与されるか治療目的で投与されるか、薬歴、患者の病歴および抗原結合性ポリペプチドに対する応答、用いられる抗原結合性ポリペプチドの型、ならびに主治医の裁量などの多数の因子に依存する。]
[0057] 本発明はさらに、組成物を保持する1つまたは複数の容器を含む製造品を包含する。適切な容器として、例えば、ボトル、バイアル、およびシリンジが挙げられ、それらは、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成されていてもよい。製造品はさらに、商業的観点およびユーザー観点から望ましい他の材料を含んでもよく、それらには、緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、および使用説明書を含む添付文書が挙げられる。さらに、本発明は、本明細書に開示された抗原結合性ポリペプチドをコードするDNA配列を包含する。]
[0058] 別の態様において、本発明はまた、前記DNA配列を含むクローニングベクターまたは発現ベクターを包含する。]
[0059] 本発明はさらに、前記発現ベクターで形質転換された適切な宿主細胞を開示する。前記宿主細胞は、原核生物の宿主細胞、好ましくはE.coli、または酵母、好ましくはS.cerevisiae、昆虫細胞、哺乳動物細胞、もしくは植物細胞などの真核生物の宿主細胞であり得る。好ましくは、前記方法は、E.coli封入体から、または用いられるscFv構築物が、ポリペプチドを周辺質へ方向付けるシグナル配列を含む場合には、E.coli周辺質から精製されたscFv抗体を提供する。]
[0060] さらに別の態様において、本発明は、軟骨変性の治療、予防、および/または進行の遅延のための方法であって、
(a)少なくとも10kDaで、かつ50kDa未満の分子量を有し、さらに7.0より高いpIを有する抗原結合性ポリペプチドを供給するステップと、
(b)前記ポリペプチドをそれを必要としている対象に局所投与するステップと
を含む方法を包含する。]
[0061] 前記ポリペプチドは、好ましくは、本明細書に開示されたポリペプチドである。特に、前記ポリペプチドは、好ましくは、サイトカインまたはサイトカイン受容体、好ましくはTNFαまたはインターロイキンに結合する。より好ましくは、前記ポリペプチドは安定かつ可溶性である。最も好ましくは、前記ポリペプチドは、配列番号3の配列と少なくとも90%同一性、より好ましくは95%、および最も好ましくは100%同一性を有する。]
[0062] 場合によって、ポリペプチドは、前記ポリペプチドの正電荷を増加させるように操作され、および/または前記ポリペプチドは、抗原結合性ポリペプチドに全体的な正電荷を供給する製剤を有する組成物において適用される。ポリペプチドの正電荷は、遺伝子操作、例えば、1つもしくは複数のアミノ酸の置換によって、および/またはポリペプチドの化学的修飾によって、例えば増加させることができる。それにより、軟骨浸透を促進させることができ、および/または軟膏保持を増強することができる。]
[0063] 投与方法は、好ましくは非経口投与、より好ましくは関節内投与である。]
[0064] 典型的には、治療有効量のポリペプチドは、それを必要としている対象に投与される。前記対象は、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトである。]
[0065] (実施例1)
FITC標識TNFαアンタゴニストのウシ軟骨へのサイズ依存的浸透
実験の目的は、抗TNFα一本鎖抗体(scFv)ESBA105(図においてE105と呼ぶこともある)のエキソビボ軟骨浸透を完全長抗TNFα抗体インフリキシマブと比較することであった。]
[0066] 材料および方法:
ESBA105をWO08/006235に記載されているように作製した。インフリキシマブ/Remicade(登録商標)については、公認のスイス薬局で購入した。]
[0067] 軟骨標本を、(屠殺場から新鮮に入手した)ウシ大腿骨から切開し、図1に模式的に描かれているように角膜灌流チャンバーに取り付けた。天然では滑液に曝されている軟骨層を、300mclのFITC標識抗体溶液に曝した。PBS緩衝液、pH7.4中のFITC標識抗体の試験された濃度は、E105−FITCについては1mg/mlであり、インフリキシマブ−FITCについては、それぞれ、1mg/mlおよび2.2mg/mlであった。チャンバー、チューブ、およびリザーバを通って循環する総液体容積は、5mlであった。指定されたインキュベーション時間(2時間、4時間、6時間、または8時間)後、軟骨組織を、20mlのPBS、pH7.4で3回、洗浄し、その後、OCTコンパウンド(TissueTek)に包埋し、液体窒素で凍結した。試料をパラフィンフイルム(Parafilm)でラップし、薄片作製まで−20℃で保存した。] 図1
[0068] 薄片作製については、MICROMクリオスタット(OT:−18℃、ナイフ:−20℃)を用いて14mcmの切片厚さで行った。マウントされた切片を分析し、40〜100xの倍率でUV顕微鏡(Leica)下で写真撮影した。写真上のシグナル強度を、IMAGE QUANT(5.0)ソフトウェアを用いて分析した。]
[0069] FITC標識を以下の通り実行した:75mclの新鮮に調製された1mg/ml NHS−FITC/DMSO溶液を、ボルテックスしながら、1mlの2mg/ml抗体溶液に加え、室温で45分間、インキュベートした。結合していないFITCの標識タンパク質からの分離については、4℃で、5lのPBS、pH6.5中、5mlの透析カセットを用いる透析によって行った。透析を48時間にわたって行い、その間、透析緩衝液を4回、完全に交換した。]
[0070] 軟骨標本は、骨からメスで切除したため厚さが様々であった。製剤に曝された軟骨表面は、各写真の下端へ向けられている。図「インビトロ軟骨浸透」の写真3〜5(左から右へ)は、続いて撮られた2枚の写真(3つのうちの写真4)で構成され、オーバーレイして、調べられた軟骨組織全体の概要を作製した。]
[0071] 結果:
ESBA105−FITCおよびインフリキシマブ−FITCのウシ軟骨への浸透試験の結果は図3に示されている。時間経過試験により、ESBA105−FITCは、ウシ軟骨へ時間依存的様式で効率的に浸透したが、インフリキシマブ−FITCは浸透しなかった。インフリキシマブ−FITCについて、時間依存的浸透は観察されず、8時間後で、かつ2.2mg/mlの濃度においてさえも、写真は、PBS処理軟骨と区別ができない。異なる標識タンパク質調製物の比較を可能にするために、それらを軟骨浸透実験に用いる前に、それらのアリコートを希釈し(1:2、1:4、1:8、1:16)、ガラススライド上にスポットし、UV下でシグナル強度を決定した。この希釈系列の結果は、図2に示されており、その図は、FITC標識は両方のタンパク質について等しく効率的に働き、したがって、浸透実験の結果は、定性的な基準において直接比較できることを示している。] 図2
[0072] 図4Aは、時間経過試験中に頂端から距離0.5[任意単位](ルーラーについて図4B参照)で測定されたシグナル強度の定量化を示す。PBSについてとインフリキシマブ−FITCについて、測定された値は、ほとんど同一で、インフリキシマブ−FITCは軟骨を浸透しなかったことを示す。ESBA105について、定量的分析により、時間と共にシグナル強度がほぼ直線的に増加することが明らかにされた。] 図4A 図4B
[0073] (実施例2)
インビボ試験および体内分布試験
材料および方法:
TNF−αインヒビター。記載されているようにESBA105をE.coli中に発現させ、そこから精製し、25mMのリン酸ナトリウム、pH6.5中で用いた。インフリキシマブ(Remicade(登録商標))およびエタネルセプト(Enbrel(登録商標))を施設内薬局で購入した。]
[0074] 細胞培養中のTNF−α誘導性アポトーシス。継代px6〜px15のマウスL929線維芽細胞を96ウェルプレート(167008、Nunc、Langenselbold、Germany)の100μlのアッセイ培地(L−グルタミン+5%FCSを含む、フェノールレッドを含まないRPMI)に20,000細胞/ウェルの細胞密度まで蒔いた。細胞を37℃、5%CO2で、一晩、インキュベートした。その翌日、組換えヒトrhTNF−α(300−01A、PeproTech、London、UK)および様々な量のESBA105またはインフリキシマブを含むアゴニスト−インヒビター混合物を調製し、周囲温度で30分間、インキュベートした。50μlのアゴニスト−インヒビター混合物(最終rhTNF−α濃度100pg/ml)を、各ウェルに、50μlのアクチノマイシンD(最終濃度1μg/ml)の添加後、細胞に与えた。細胞を20時間、インキュベートした。その後、フェノールレッドを含まないRPMI中の1mg/mlのXTTおよび25μMのPMS(P9625、Sigma−Aldrich、Buchs、Switzerland)を含む50μlの溶液を細胞培養物に加え、細胞を、さらに90分間、37℃でインキュベートした。増殖性細胞はミトコンドリアのコハク酸テトラゾリウムリダクターゼ系を発現し、その系は、テトラゾリウム塩XTTを赤色生成物へ代謝する。赤色強度を、プレートリーダー(TECAN、Genios、Switzerland)で450nmにおける吸収を測定することによって評価した。]
[0075] 単関節炎モデル。それぞれ、40μのPBS中として注射されるESBA105、インフリキシマブ、またはESBA105と同じ可変ドメインフレームワークからなるが無関連な特異性を有するscFv(本明細書では「ナイーブ」scFv;ESBATechと名付ける)、続いて、5分後、10μlのPBS中のrhTNF−αを、Bolonら、2004年に従って28ゲージ針を用いて10週齢の雌ルイスラット(Jackson)の膝の膝蓋下靱帯を通して関節内に注射した。このために、ラットを50mg/kgのケタミンで麻酔した。試験前および試験中、ラットをモニターし、膝直径を、試験前およびrhTNF−α注射から48時間後、カリパス(Dyer、Lancaster、PA)で測定した。組織病理学的評価(Bolon B、Campagnuolo G、Zhu L、Duryea D、Zack D、Feige U. Interleukin−1beta and tumor necrosis factor−alpha produce distinct, time−dependent patterns of acute arthritis in the rat knee. Vet Pathol 2004年;41巻:235〜243頁)について、ラットを48時間目に安楽死させた。脱灰された膝切片を、HEまたはトルイジンブルー染色後に評価した。以前に記載されているように(Bolon Bら(2004年)、上記参照)、切片を炎症(0〜4)および軟骨(0〜4)についてスコア化した。倫理的承認は、全ての動物手順について得られている。]
[0076] 体内分布試験。ESBA105を、MDS Pharma Services Switzerland AG(Fehraltorf、Switzerland)によるクロラミンT方法を用いて18.6MBq/mgの開始比放射能まで125ヨウ素(125I)で標識した。]
[0077] 体内分布試験を、Covance Laboratories Ltd.(Harrogate、UK)で実施し、医薬品安全性試験実施基準(法典化、改正など)により改正されたUnited Kingdom(GLPMonitoring Authority、Medicines and Healthcare products Regulatory Agency(MHRA))Good Laboratory Practice Regulations 1999、Statutory Instrument 1999年 No.3106に従って行い、施設内倫理委員会によって承認された。ニュージーランドホワイト雄ウサギに、1000μg/動物のESBA105用量レベルの標的における[125I]−ESBA105の単回の静脈内または関節内投与を施した。投与された用量は、0.707〜0.827MBqの放射性用量に等しい、884〜1034μg/動物の範囲であった。投与後、試料を、表1に記載されているように動物から採取した。]
[0078] 血液試料を遠心分離して血漿を調製し、それをγ計数(Packard Cobra 2γカウンター、Perkin Elmer Life Sciences、Waltham、MA)に供して、薬物動態についての放射能濃度を決定した(A群)。B群およびC群について、動物を、ペントバルビトン過剰投与、続いて、瀉血によって屠殺した。各動物の右後肢(膝関節を含む)を切除し、ヘキサンおよび固体二酸化炭素の混合物に少なくとも15分間、浸漬した。いったん完全に凍結させたならば、肢を、凍結2%(w/v)水性カルボキシメチルセルロースペーストを含む型に包埋した。その塊を、約−20℃で維持されたLeica CM3600クリオミクロトームのステージ上に載せ(Leica Microsystems、Bucks、UK)、矢状切片(名目厚さ30μm)を膝関節から得た。「インビジブルテープ(Invisible−Tape)」(Supapak、Shipley、UK)上にマウントした切片をGVD03卓上凍結乾燥機(Girovac Ltd.、Norwich、UK)で凍結乾燥し、FUJIイメージングプレート(BAS MS型、Raytek Scientific Ltd、Sheffield、UK)と接触させて置いた。(同様に30μmの名目厚さで切片を作製した)適当な活性の125I血液標準を、全てのイメージングプレートと接触させて置いた。銅で裏打ちされた鉛の曝露箱での14日間の曝露後、イメージングプレートをFUJIFLA−5000X線撮影システム(Raytek Scienctific Ltd)を用いて処理した。電子的画像を、PCベースの画像分析パッケージ(Seescan Densitometryソフトウェア、LabLogic Ltd、Sheffield、UK)を用いて分析した。各オートラジオグラムと共に含まれていた125I標準を用いて、放射能濃度の範囲に対するキャリブレーション線を作成した。投与から約2カ月後(125I減衰についての約1半減期に相当する)、いくつかの切片および対応する標準を4日間、再び露光させ、高レベルの放射能の定量化を可能にした。加えて、B群からの残存する屠殺体から採取された組織を、部分をγ計数に供する前に、浸軟させ、および/またはホモジナイズした。]
[0079] 薬物動態パラメータを、WinNonLin Professionalソフトウェア(バージョン4.0.1、Pharsight Corporation、Mountain View、CA)を用いて計算した。]
[0080] 結果
作用様式。ESBA105は、TNF−αの受容体結合部位への競合的結合によってTNF−αリガンド−受容体相互作用をブロックする。分析用サイズ排除クロマトグラフィーからのデータにより、3つの単量体ESBA105分子が1つのTNF−α三量体に結合し(データ示さず)、それぞれが3つのTNF−α単量体のうちの1つと相互作用することが示されている。ESBA105は、2.19×10−9MのKDでrhTNF−αに結合する。ESBA105のrhTNF−αへの結合動態は、5.72×106M−1S−1および0.01256S−1、それぞれの速度定数konおよびkoffによって特徴づけられる(データ示さず)。したがって、ヒトTNF−αからの解離速度は、インフリキシマブの解離速度とエタネルセプトの解離速度の間にある(Scallon Bら、J Pharmacol Exp Ther 2002年;301巻:418〜26頁)。]
[0081] インビトロ効力。細胞培養物においてTNF−αの生物活性を中和するESBA105の能力を、マウスL929線維芽細胞を用いて実証した。この細胞系は、TNF受容体IおよびIIを発現し、アクチノマイシンDでの感作により、TNF−αに曝されたとき、アポトーシスを起こす。インフリキシマブと同様に、ESBA105は、rhTNF−αのアポトーシス効果を濃度依存性様式でブロックする。L929 TNF−αアッセイにおけるEC50値は、ESBA105について12.5ng/ml、およびインフリキシマブについて14.0ng/mlであった(図7)。] 図7
[0082] 単関節炎モデル。10μgのrhTNF−αの関節内注射後、ラット膝は、予想された炎症反応(Bolon B、Campagnuolo G、Zhu L、Duryea D、Zack D、Feige U Interleukin−1 beta and tumor necrosis factor−alpha produce distinct, time−dependent patterns of acute arthritis in the rat knee. Vet Pathol 2004年;41巻:235〜243頁参照):膝の腫脹、滑膜炎、および軟骨中のプロテオグリカンの損失を示した(図9におけるrhTNF−α対照を参照)。無関連の特異性を有するナイーブscFvは、炎症反応の重症度へ効果を示さなかった(図9)。対照的に、ESBA105は、用量依存的に、rhTNF−α誘発性炎症反応を抑制した(図9)。興味深いことに、rhTNF−αに対して11倍モル(16倍w/w)過剰量のESBA105は、膝の腫脹の90%抑制をもたらした(図9)。ESBA105およびインフリキシマブは、この試験において類似した効力を示した(図9)。炎症スコアもまた、同じ程度で低下した(図8)。さらに、軟骨中のプロテオグリカン損失は、図8に示されているように、防止することができた。] 図9
[0083] 体内分布試験。ESBA105は、局所治療用、特に関節への関節内適用として設計されている。最初に、全身性薬物動態について、[125I]−ESBA105の静脈内適用と関節内適用を比較して試験した。図11Aに示されているように、静脈内適用は、予想された薬物動態学的挙動を示す(LarsonSM、EI−Shirbiny AM、Divgi CR、Sgouros G、Finn RD、Tschmelitsch Jら、Single chain antigen binding protein(sFv CC49)− First human studies in colorectal carcinoma metastatic to liver. Cancer Suppl 1997年;80巻:2458〜68頁;Fitch JC、Rollins S、Matis L、Alford B、Aranki S、Collard CDら、Pharmacology and biological efficacy of recombinant, humanized, single−chain antibody C5 complement inhibitor in patients undergoing coronary artery bypass graft surgery with cardiopulmonary bypass.Circulation 1999年;100巻:2499〜506頁)。測定されたピーク濃度は、投与から2分後(最初の試料採取時間)に生じた。その後、放射能は、おそらく分布相(投与後約1時間)を表す二相様式で減少し、続いて、最終的に排出された(表2)。] 図11A
[0084] ]
[0085] 対照的に、関節内注射後、血漿中のCmaxは、6〜12時間後にやっと達しており、長期吸収相を示唆している。しかしながら、血漿中のAUC0−24は、静脈内適用および関節内適用の両方について類似している。]
[0086] 局所治療の利点の1つは、局所的に高薬物レベルを達成する可能性である。[125I]−ESBA105の関節内膝注射の1時間後および24時間後、滑膜腔における574,000ng当量/グラムおよび14,300ng当量/グラムのレベルが観察されている(図5B)。興味深いことに、関節軟骨中のESBA105レベルは、大きさおよび経過においてほとんど同一である(図5B)。膝蓋骨において、ESBA105は、よりゆっくり吸収され、6時間目で15,100ng当量/グラムのCmaxを有する;このレベルは、滑膜腔および軟骨に見出されるレベルの約20分の1である。海綿骨において、関節内注射後のESBA105は、6時間後に3440ng当量/グラムのCmaxに達する(図5B)。12時間目から以降、放射能は、ほとんどの組織で減少し、約4時間のT1/2を有する。より長いT1/2は、血漿(13.5時間)、骨髄(23.0時間)、脛骨(14.6時間)、筋上膜(14.3時間)、皮膚(12.1時間)、および大腿骨(9.02時間)に見出される。興味深いことに、滑液および関節軟骨中のレベルは、膝蓋骨、海綿骨、および血漿中より約20倍、留まっている。] 図5B
[0087] 膝への関節内適用とは対照的に、静脈内適用後、実質的により低いレベルのESBA105が膝関節に見出される(図11C)。AUC0−24に基づいた関節軟骨における曝露は、[125I]−ESBA105の静脈内適用と比較して、関節内に関して150倍〜500倍である。静脈内適用後の組織における最終半減期(それらが測定可能であった場合)は、関節内注射後のそれらと匹敵することが見出された(データ示さず)。] 図11C
[0088] 考察
理想的には、OAの治療は、徴候および症状のほかに構造改変にも取り組むべきである。しかしながら、そのような治療は、現在、利用できない(概説として、Goldring & Goldring、Osteoarthritis J Cell Physiol. 2007年;213巻:626〜34頁参照)。それゆえに、両方の病態生理学的過程に優位に関与する薬理学的標的が理想であろう。TNF−αは、(a)TNF−αへの(持続的)局所曝露が(持続的)痛覚過敏を引き起こすこと(Sachs Dら、Pain 2002年;96巻:89〜97頁;Schafers Mら、Pain 2003年;104巻:579〜88頁)、(b)TNF−αは、OAにおいて滑膜組織(Benito MJら、Ann Rheum Dis 2005年;64巻:1263〜7頁;BrennanFMら、Scand J Immunol 1995年;42巻:158〜65頁)および軟骨(Amin AR. Osteoarthrit Cartilage 1999年;7巻:392〜4頁)によって産生されること、ならびに(c)TNF−αは炎症性過程(Goldring SRおよびGoldring MB、Clin Orthop Relat Res 2004年;(427号別冊):S27〜36頁;Schottelius AJら、Exp Dermatol 2004年;13巻:193〜222頁)および軟骨分解(Kobayashi Mら、Arthrit Rheum 2005年;52巻:128〜35頁)の推進因子であることから、そのような標的として働く。さらにHillらは、膝OAの経過中における痛みの変化と滑膜炎の変化との相関を記載した(Ann Rheum Dis 2007年;66巻:1599〜603頁)。TNF−αインヒビターは、(a)痛みおよび痛覚過敏を抑制すること(Sachs Dら、Pain 2002年;96巻:89〜97頁;Elliott MJら、Lancet 1994年;344巻:1105〜10頁;Shergy WJら、J Rheumatol 2002年;29巻:667〜77頁;Alstergren PおよびKopp S、J Rheumatol 2006年;33巻:1734〜9頁)、(b)炎症過程を低下させること(Elliott MJら、Lancet 1994年;344巻:1105〜10頁;Feldmann MおよびMaini SR、Immunol Rev 2008年;223巻:7〜19頁)、ならびに(c)OA軟骨をエキソビボで異化状態から同化状態へ逆転させ得ることが示されている(Kobayashi Mら、Arthrit Rheum 2005年;52巻:128〜35頁)。]
[0089] 多くの患者において、OAは、膝または股関節などの単一の関節に影響する局所現象である(WielandHAら、Nat Rev Drug Discov 2005年;4巻:331〜344頁;Abramson SBおよびYazici Y、Adv Drug Deliv Rev 2006年;58巻:212〜225頁)。それゆえに、全身性TNF−α抑制は、安全性を考慮すれば適当であるようには思われない。そのようなわけで、強力なTNF−α抑制、滑膜組織および軟骨への浸透性の良さによって特徴づけられるが、結果として低い全身性TNF−α抑制のみを生じる作用物質での局所治療は、最適な治療介入であろう。同じ議論は、「古典的な」炎症性関節炎(乾癬性関節炎など)の単関節炎または少関節炎疾患経過の治療についても当てはまる。ここで、本発明者らは、インビボでのTNF−αの局所的中和、エキソビボでの軟骨浸透、およびインビボの関節内注射後のウサギの膝関節腔から滑膜組織および軟骨への体内分布に取り組むモデルにおける局所治療のためのそのような候補(ESBA105)の性質を特徴づけた。ESBA105は、わずか26kDaの分子量を有する。対照的に、現在利用可能な、インフリキシマブ、エタネルセプト、およびアダリムマブなどのTNF−αインヒビターは全て、約150kDaの分子量を有する。]
[0090] ESBA105は、TNF−αへのナノモル結合親和性を有し、その結果として、細胞アッセイにおいてインフリキシマブと同程度にTNF−αを抑制する(図7)。インビボで、ラットのrhTNF−α誘発性膝関節炎症モデルにおいて、ESBA105はまた、局所TNF−αを強力に抑制する。実際、rhTNF−αに対して11倍モル(16倍w/w)過剰量のESBA105は、TNF−α誘発炎症性の膝の腫脹、滑膜炎、および軟骨からのプロテオグリカン損失を90%抑制した(図8、9)。ESBA105の組織浸透能力をさらに特徴づけるために、本発明者らは、ESBA105の正常ウシ関節軟骨への浸透を試験した(実施例1参照)。数時間のうちにESBA105は軟骨に浸透した。タンパク質の軟骨浸透は、分子量依存性および電荷依存性である(Maroudas A、J Anat1976年;122巻(Pt 2):335〜47頁;van LentPLら、J Rheumatol 1987年;14巻:798〜805頁;van Lent PLら、J Rheumatol 1989年;16巻:1295〜303頁)。その結果から、ESBA105は、治療的に関節内で用いるのに適当なサイズ(26kDa)および電荷を有することは明らかである。ESBA105の軟骨浸透が直線的であることは注目すべきである(図4)。現在に至るまで存在するデータは、インビボで、関節内注射後のESBA105がOA軟骨においてTNF−αを抑制するだろうという示唆を支持している。これは、結果として、変形性関節症軟骨における代謝の現在の理解に従って、少なくとも一部の患者で異化から同化への逆転を生じると予想される(Kobayashi Mら、Arthrit Rheum 2005年;52巻:128〜35頁と比較されたい)。ESBA105と対照的に、インフリキシマブなどのIgG(約150kDa)は大きすぎて、軟骨へ浸透することができない(図3、4)。] 図4 図7
[0091] ウサギにおける[125I]−ESBA105を用いた体内分布試験は、関節内注射後、それが膝関節から分布され、関節内投与後の全OA関連組織において、同じ用量の静脈内投与後より有意に高いレベルに達した(図11、表4)。これは、滑液(1,700倍)、関節軟骨(46倍)、および膝蓋骨(127倍)におけるCmaxについて最も顕著であった。関節内投与後の下肢の組織への放射能の分布は、遅延性の過程であり、ピークレベルは6〜12時間目に最も頻繁に見られた(図5A、5B)。] 図11 図5A
[0092] 対照的に、血漿中のESBA105のCmaxは、膝関節への注射後において、静脈内注射後の約10分の1であった(図5A)。この所見と一致して、関節内投与後の血漿中のCmaxは、投与後6時間目〜12時間目に観察され、膝関節腔から循環への比較的遅い吸収を示唆した(図5A)。したがって、TNF−αの全身性抑制は、ESBA105の関節内注射後、低いことが予想され得る。ESBA105が、エタネルセプト、インフリキシマブ、またはアダリムマブ(Nestorov I. Semin Arthritis Rheum 2005年;34巻(5号別冊1):12〜8頁)より循環から迅速にクリアランスされる(ウサギにおける7時間のT1/2(Furrer Eら、Invest Ophthalmol Vis Sci. 2009年2月、50巻(2号):771〜8頁、電子出版2008年8月29日))ため、なおさらそうである。] 図5A
[0093] 概要および結論
ウサギにおけるPK試験により、関節内注射後、[125I]−ESBA105からの放射能が膝関節へ分布され、そこでは、関節内投与後、同じ用量の静脈内投与後より有意に高いレベルに達したことが示された。これは、滑液(1,700倍)、関節軟骨(46倍より高い)、および膝蓋骨(125倍)について最も顕著であった。静脈内投与後および関節内投与後の経時的な[125I]−ESBA105分布について、それぞれ、図5Aおよび5Bを参照。インビトロの結果により、ESBA105の膝軟骨への効率的浸透が確認されたが、インフリキシマブの浸透は確認されなかった(実施例1参照)。関節内投与後の下肢の組織への放射能の分布は遅延性過程であり、ほとんどの組織におけるレベルのピークは6時間目に生じた(図5B参照)。この所見と一致して、関節内投与後の血漿中のCmaxは、6〜12時間の間に観察され、膝関節腔から循環への比較的遅い吸収を示唆した。静脈内投与後および関節内投与後、それぞれの経時的な[125I]−ESBA105の血漿濃度の比較について図6参照。放射能分布は、静脈内投与後、身体中に広く行き渡り、最高レベルは排泄器官(腎臓および胃腸管)に関連していた。総合すれば、これらの結果より、膝関節において高くかつ持続的なレベルのESBA105を得るために、関節軟骨への最大浸透を達成するために、関節内投与経路が静脈内投与より優れていることが確認された。] 図5A 図5B 図6
[0094] (実施例3)
OA患者由来のヒト関節軟骨外植片における変形性関節症に関連したバイオマーカーへのTNF抑制性scFvESBA105の効果
方法
試験概略およびヒト軟骨外植片の培養
8つの変形性関節症ドナー由来のヒト膝関節軟骨外植片におけるマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の活性およびPGE2の産生へのESBA105の効果を評価した。]
[0095] 膝OAを患っている8人の異なるドナー由来のヒト軟骨を、関節置換手術で入手した。各ドナー由来の8つの軟骨複写物の群を、合計3つの異なる試験条件で培養した(ESBA105の非特異的scFvフレームワーク(FW2.3)および2つの異なる濃度のESBA105、表3も参照)。]
[0096] 完全深度3mm直径軟骨パンチを、人工膝関節全置換術(TKA)を受けた患者の膝関節から得た。軟骨パンチの重さを量り、培養した。パンチを96ウェルプレート中で培養し、各ウェルは1つの外植片および200ulの培地(DMEM+加水分解ラクトアルブミン+50ug/mlのビタミンC+ペントマイシン/ストレプトマイシン+ITS)を含んだ。軟骨外植片を3週間、培養し、培地を週2回、新しくした。培地を、5日目、8日目、12日目、15日目、19日目、および21日目に収集し、分析まで−80℃で保存した。]
[0097] MMP活性測定
MMP活性を、Tchetverikovら(Clinical and Experimental Rheumatology 2003年;21巻:711頁)に記載されているように、蛍光MMP基質TNO211−Fを用いて測定した。この基質は、主に、MMP−2、MMP−3、MMP−7、MMP−9、MMP−12、およびMMP−13によって変換される。それはまた、より低い率であるとはいえ、MMP−1によっても変換される。MMP活性を、5uMのBB94(一般的なMMPインヒビター)の存在下または非存在下で6.25uMのTNO211−Fを用いて測定した。軟骨培養上清をMMP緩衝液中に希釈し(最終希釈度1:12)、EDTAを含まない完全セリンおよびシステインプロテアーゼインヒビターを全試料に加えた。BB94添加あり、または添加なしでの試料間の基質変換の初速度(時間における蛍光の直線的増加)の違いを、MMP活性の測定として用いた。蛍光を30℃で6時間、測定した。試験結果は、フレームワーク(FW)対照と比較した試験条件の%MMP活性として報告されている。統計的解析を、t検定を用いて行い、FW2.3をESBA105低、またはFW2.3をESBA105高のいずれかと比較した。]
[0098] PGE2
軟骨培養上清におけるPGE2レベルを、R&D Systems(R&D Systems Europe Ltd.、Abingdon、United Kingdom;カタログ番号KGE004)のPGE2アッセイキットを用いて測定した。アッセイを、2倍希釈された細胞培養上清を用いて製造会社の使用説明書に従って行った。簡単には、このアッセイは、試料中に存在するPGE2が、マイクロプレート上にコーティングされたマウスモノクローナル抗体の部位に対して固定量の西洋ワサビペルオキシダーゼ標識PGE2と競合する、競合的結合技術に基づいている。過剰コンジュゲートおよび結合していない試料を除去した後、発色基質をウェルに加え、結合したHRP活性を決定した。色の強度は、試料中のPGE2の濃度に反比例する。試験結果は、フレームワーク(FW)対照と比較した各試験条件で測定された%PGE2として報告されている。統計的解析を、t検定を用いて行い、FW2.3をESBA105低、またはFW2.3をESBA105高のいずれかと比較した。]
[0099] 結果
MMP活性
MMP活性の測定について最適な時点を決定するために、試験分析を行った。それぞれの単一の時点における8つの複製物の上清をプールし、これらのプールされた上清におけるMMP活性を、アイソタイプ対照およびESBA105高の培養条件において全時点(5日目、8日目、12日目、15日目、19日目、21日目)で4つのドナーについて分析した。最良結果は5日目に得られた。したがって、最終分析を、5日目の上清を用いて行った。]
[0100] ヒト変形性関節症軟骨外植片のTNF抑制性scFvESBA105での処理は、フレームワーク対照(FW2.3)と比較した場合、MMPの活性を有意に低下させた。全体的な効力は、両方の濃度のESBA105について類似していた(図10)。] 図10
[0101] PGE2
PGE2濃度を、全複製物の培養中の全時点のプールされた培地において決定した。両方の濃度のESBA105は、疾患軟骨培養物の上清においてPGE2濃度を有意に低下させた(図11)。] 図11
実施例

[0102] 今、本発明の好ましい実施形態が示され、記載されているが、本発明が、それらに限定されず、以下の特許請求の範囲内で、別なふうに様々に具体化され得、実施され得ることは明確に理解するべきである。]
权利要求:

請求項1
軟骨変性の治療、予防、および/または進行の遅延のための抗原結合性ポリペプチドであって、該軟骨へ浸透する能力がある抗原結合性ポリペプチド。
請求項2
一本鎖抗体である、請求項1に記載の抗原結合性ポリペプチド。
請求項3
少なくとも5mg/ml、より好ましくは少なくとも10mg/ml、最も好ましくは少なくとも20mg/mlの溶解度を有する、請求項1または2に記載の抗原結合性ポリペプチド。
請求項4
少なくとも10kDa、かつ50kDa未満の分子量を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の抗原結合性ポリペプチド。
請求項5
サイトカイン、特にIL−1もしくはTNFα、サイトカイン受容体、または軟骨プロテオグリカン分解酵素に特異的に結合する、請求項1から4のいずれか一項に記載の抗原結合性ポリペプチド。
請求項6
配列番号1と少なくとも90%同一性、より好ましくは少なくとも95%同一性を有するVL;および/または配列番号2と少なくとも90%同一性、より好ましくは少なくとも95%同一性を有するVHを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の抗原結合性ポリペプチド。
請求項7
配列番号3を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の抗原結合性ポリペプチド。
請求項8
前記抗原結合性ポリペプチドのpIが、7.0より高い、特に7.4より高い、より詳細には7.8または7.8より高い、請求項1から7のいずれか一項に記載の抗原結合性ポリペプチド。
請求項9
軟骨変性、特に変形性関節症の治療、予防、および/または進行の遅延のための、請求項1から8のいずれか一項に記載の抗原結合性ポリペプチドの使用。
請求項10
軟骨変性、特に変形性関節症の治療、予防、および/もしくは進行の遅延のため、または軟骨変性、特に変形性関節症の検出のためのインビトロ診断剤としての医薬品の製造のための、請求項1から8のいずれか一項に記載の抗原結合性ポリペプチドの使用。
請求項11
請求項1から8のいずれか一項に記載の抗原結合性ポリペプチドを含む組成物、特に薬学的組成物。
請求項12
6.0より高いpHを有する水性pH緩衝溶液を含む、請求項11に記載の組成物。
請求項13
関節内投与に適した製剤、特に徐放性製剤を有する、請求項11または12に記載の組成物。
請求項14
前記ポリペプチドに全体的な正電荷を与える製剤を有する、請求項11から13のいずれか一項に記載の組成物。
請求項15
前記ポリペプチドがscFvであり、かつTNFαを特異的に結合する、請求項11から14のいずれか一項に記載の組成物。
請求項16
請求項1から8のいずれか一項に記載の抗原結合性ポリペプチド、または請求項11から15のいずれか一項に記載の組成物を保持する容器を含む製品。
請求項17
軟骨変性および軟骨変性に関連した任意の障害、特に変形性関節症の治療、予防、および/または進行の遅延のための、請求項11から15のいずれか一項に記載の組成物の使用。
請求項18
請求項1から8のいずれか一項に記載の抗原結合性ポリペプチドをコードするDNA配列。
請求項19
請求項18に記載のDNA配列を含有するクローニングベクターまたは発現ベクター。
請求項20
請求項19に記載の発現ベクターで形質転換された適切な宿主細胞。
請求項21
請求項1から8のいずれか一項に記載の抗原結合性ポリペプチドの産生のための方法であって、請求項20に記載の宿主細胞を、該抗原結合性ポリペプチドの合成を可能にする条件下で培養するステップ、および該抗原結合性ポリペプチドを該培養物から回収するステップを含む方法。
請求項22
軟骨変性の治療、予防、および/または進行の遅延のための方法であって、請求項1から8のいずれか一項に記載の抗原結合性ポリペプチドが、特に関節内投与によって局所投与される、方法。
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